村上世彰氏 引退表明、そして逮捕
私が尊敬してやまない村上世彰さんが証取法違反容疑(インサイダー取引)で今日逮捕された。
これまで村上さんが何かやる度、メッセージを発信する度に「我が意を得たり」と元金融マンとして共感したものだ。
今日の逮捕前の記者会見はいかにも村上さんらしく、潔く恰好いいものであった。
しかし、今回の逮捕劇には何らかの反作用と想像し得る意図的なものを感じざるを得ない。今頃になってライブドアのニッポン放送株大量取得絡みで立件するのは余りに不自然だと思う。ライブドアのホリエモンや宮内氏らの「ニッポン放送の株をたくさん買って経営権を取得したいので協力して」と村上さんに対して働きかけたことが「同社株を5%以上買い集めるための準備行為に当たる」というわけだ。その「買いたい」という当時の言葉の実現性のいかんにかかわらず、「聞いてしまった」ことで証取法上の構成要件を充たすという。
結果としてそうなっただけで、それって当時は”単なる願望”じゃなかったの? と言いたくなる。
ほとんど言いがかりに近い拡大解釈のような気がするが、逆に言うとインサイダー取引の立件の難しさを物語っているとも言える。いずれにしても、なぜ今頃?という疑念は消えない。
この国ではやはり出過ぎる杭は打たれるのか。
確かに、今回の阪神電鉄株の大量取得には少々やり過ぎた面があるのは否めない。しかし阪神電鉄という会社はターゲットにされても仕方のない会社である。阪神経営陣は村上ファンドによる大量取得が発覚するや、株主や債権者、自社の従業員のことなど全くお構いなしで、ひたすら自己の保身に走り、自分の社会的地位にしがみつきたいだけの醜態を晒すだけであった。村上さんの主張を自分たちに都合のいいように世論の同情を買うように歪曲化して解釈し、批判し、村上ファンド側との交渉内容を次々とマスコミに漏洩した。全く恥ずかしくないのか。
阪神の社外取締役を務めていた玉井さんは誤解をうけたものの、まともな考え方をもった人であった。さすが住友銀行の副頭取まで登りつめた人物だけのことはある。
星野仙一なんかは「村上氏の株主提案が可決されれば阪神タイガースのシニア・ディレクターを辞任する」と言い出した。まあ、星野さんは野球人としては立派な方だと認めるが、経済原理や企業統治、資本市場のことなどに関するご見識は全くお持ちでないために、「なんか勘違いをされているのでは?」というような話になってしまった。星野さんが辞めたって村上さんのプロとしての投資行動には何ら関係ない。村上さんは阪神タイガースの運営自体には全く興味がないからだ。まったく「勝手に辞めたらぁ~」である。状況の本質を理解せずに出しゃばって無知な大衆を扇動したらあんたにこそ天罰が下るんじゃないの。
日本初の”物言う株主”として戦略的かつ筋の通った株主提案を次々に経営者に行い、日本の投資家に株主の意識を目覚めさせるとともに、”会社は自分のもの”と勘違いした企業経営者に株主価値を向上させる緊張感ある経営努力を促した村上さんの功績は大きいと言わねばならない。
村上さんは今日限りで企業投資の世界から身を引くことを決心した。
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